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    北先生コラム

    「小学校におけるエネルギー教育」

    小学校で実施するエネルギー教育の課題とは? 教科との関連は?限られた時間の中でエネルギー教育を充実させるための工夫、指導上のポイントとは?初等教育の最前線に長年携わってこられた北俊夫先生に、3回にわたりお話を聞きます。

    北 俊夫 先生

    東京都公立小学校教員、東京都教育委員会指導主事、文部省(現文部科学省)初等中等教育局教科調査官、岐阜大学教授、国士舘大学教授を経て、現在一般財団法人総合初等教育研究所参与。

    第2回 教科の中での扱い方と工夫

    第2回は、学習指導要領に示された教科での取り扱われ方と、
    指導の工夫について聞きました。

    エネルギー教育の可能性が大きく広がる社会科、理科。
    教科横断的な学習で、より充実した学びが可能に。

    各教科では、どのような単元でエネルギー教育が取り扱われていますか?

    学習指導要領にエネルギー教育に関する内容がみられるのは社会科と理科です。

    【社会科】

    社会科は言葉として「エネルギー」が出てくるわけではありませんが、エネルギー教育につながるさまざまな内容が示されており、先生方の意識次第ではいろいろな方面からのエネルギー教育へのアプローチが可能になります。

    学年 学習指導要領に示された内容(エネルギー教育に関連する内容を抽出)
    3・4年生 (3)ア 飲料水、電気、ガスの確保と、自分たちの生活や産業とのかかわり
    (5)ア 古くから残る暮らしにかかわる道具、それらを使っていたころの暮らしの様子
    5年生 (3)ウ 工業生産を支える貿易や運輸などの働き
    6年生 (1)キ 明治維新、文明開化について調べる

    3・4年生

    「飲料水、電気、ガス」の中から選択して1つを取り上げますが、これまでは圧倒的に「飲料水」が選ばれていました。その理由の1つは飲料水が子どもにとってより身近な題材であることですが、もう1つ、平成20年版の学習指導要領までは「健康的な生活の維持」という内容が示されていたことが挙げられます。しかし平成29年の改訂では、「良好な生活環境と安全を守る」ための諸活動として、これらの事業の安全性や安定性についても理解させることが盛り込まれたため、電気・ガスも選択しやすくなりました。また、飲料水を選択したとしても、「安全な水をいつでも飲める工夫」という見方を応用・転移させて、「電気を届ける仕事も安全性や安定性に配慮されているのだろうか」といった学習に発展させることができると思います。
    「昔の道具調べ」では、「灯りの道具」に着目すると、灯りの燃料は何か、どのように変遷してきたかなど、エネルギー教育の視点を位置づけて取り上げることが可能です。

    5年生

    「工業生産を支える貿易や運輸などの働き」では、石炭・石油・天然ガスの輸入に注目し、それぞれの輸入先について調べることから、エネルギーの安定的な供給について考えさせることができます。

    6年生

    明治維新、文明開化について調べる学習では、暮らしや社会がどのように変わったのかをエネルギー教育の視点でみていくことが可能です。

    【理科】

    理科は、大きく4つの領域が示され、その1つに「物質・エネルギー」があります。エネルギー(主に電気)に関する学習内容が系統立てて示されています。

    学年 学習指導要領に示された内容(エネルギー教育に関連する内容を抽出)
    3年生 (4)磁石の性質、(5)電気の通り道
    4年生 (3)電気の働き
    5年生 (3)電流の働き
    6年生 (4)電気の利用

    暮らしや社会につながる社会科の視点、仕組みやメカニズムなどの理科的な視点。これらをセットにして教科間の関連性を考えながら授業を行うことで、エネルギーに関する学習がより充実したものになると考えています。
    ただし、「あれもこれも」とならないよう、発達段階に応じて必要な内容だけを選んで重点化することが大切です。エネルギー問題は中学校や高校でも学びますから、「小学校ではここまで」と限定していいと思います。段階的に、学年ごとに教えることを決めておくと効果的に学習が進められると思います。

    次回「第3回 小学校で実施するエネルギー教育のポイント」
    限られた時間の中でエネルギー教育を充実させるためのポイントについて聞きます。