授業レポート
教材を活用した授業実践事例 3
- 実施校
- 東京都葛飾区立水元中学校
- 実施日時
- 2021年6月29日 4校時
- 授業者
- 東野茂樹 主幹教諭
- 教科・科目
- 社会科(公民的分野)
- 実施学年
- 第3学年1組
実施内容
公民的分野A(2)「現代社会を捉える枠組み」 SDGsと電気~効率と公正の観点から~
公民的分野の導入である大項目Aの中でも、本単元の中項目A(2)は現代社会の見方・考え方の基礎となる枠組み「対立と合意」、「効率と公正」などを理解し、それらに着目して考察、表現するものである。本単元では現代社会の見方・考え方を理解したうえで、それらを働かせる主題として地理的分野C(2)「日本の地域的特色と地域区分」の「③資源・エネルギーと産業」を関連付け、発電方法という具体的な事例を基に考察、表現する。
本校では総合的な学習の時間においてSDGsを主題に探究を進めているため、教科等横断的な取組として関連を図るとともに、特別活動の修学旅行につながるようにする。
対立と合意、効率と公正などに着目して、課題を追究したり解決したりする活動を通して、
- 現代社会の見方・考え方の基礎となる枠組みとして、対立と合意、効率と公正などについて理解する。
- 人間は本来社会的存在であることを基に、個人の尊厳と両性の本質的平等、契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任について理解する。
- 社会生活における物事の決定の仕方、契約を通した個人と社会との関係、きまりの役割について多面的・多角的に考察し、表現する。
時数 | テーマ | 学習活動 |
---|---|---|
1 | 単元の導入 | <本単元の追加> 現代社会はどのように捉えられるのだろうか。 |
5 | 小単元<1次> 【本小単元】 |
現代社会の見方・考え方とはどのようなものだろうか?
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1 | 単元のまとめ | <本単元の振り返りと公民的分野の学習への見通し> 現代社会を捉える見方・考え方を働かせて、どのように学習を進めていけるだろうか。
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知識・技能
- 現代社会の見方・考え方の基礎となる枠組みとして、対立と合意、効率と公正などについて理解している。
- 人間は本来社会的存在であることを基に、個人の尊厳と両性の本質的平等、契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任について理解している。
思考・判断・表現
- 対立と合意、効率と公正などに着目して、社会生活における物事の決定の仕方、契約を通した個人と社会との関係、きまりの役割について多面的・多角的に考察、表現している。
主体的に学習に取り組む態度
- 現代社会を捉える枠組みについて、現代社会に見られる課題の解決を視野に主体的に社会に関わろうとしている。
授業概要
導入
学習内容・学習活動
■SDGsの復習(ここまで取り組んできたこと)
- SDGsとは
- 総合の研究授業(タトゥ、土俵、学級目標)
- 未来ワークショップ(葛飾区環境部)
- SDGsをテーマに修学旅行へ
■課題(ねらい)の提示
■SDGsの確認
DVD「SDGs×電気」ビデオ1概要編 6分
■冊子「SDGs×電気」の配布
■地理の復習
指導上の留意点
- 総合的な学習の時間でのSDGsの学びを振り返らせる。
- ビデオの内容が地理的分野の学習と関連することを確認させる。
授業の様子


展開1
学習内容・学習活動
■DVD「SDGs×電気」ビデオ2実践編 7分
- SDGsの視点で発電を考える
- エネルギーミックスについて
指導上の留意点
■ビデオの内容が展開2とつなげられるようにする。
授業の様子

展開2
学習内容・学習活動
■担当した発電方法の検討
- 個人で検討
- 班で相互に発表 担当として発表
- 班で意見交流からわかったことをWBにまとめる
- 発表
指導上の留意点
- 4人班で一人ずつ発電方法の分担を決めてまとめさせる。
- 発電方法の違いを大きくとらえさせるために発電方法を4つ(水力・石炭火力・原子力・太陽光)に絞って考えさせる。
授業の様子

まとめ
学習内容・学習活動
■SDGsから私たちが電気についてできること
- 個人でまとめと感想の記入
■個人のまとめの発表(数名)
指導上の留意点
理想とするエネルギーミックスや自分自身の電気に対する向き合い方、授業の感想を記入させる。
授業の様子

授業で使用した資料
授業を実施して
授業中の生徒の様子
動画を使うことで生徒の関心が高まっていました。また、授業の後半で対話的な学びを展開するにあたり、動画を見ていることで生徒間の知識の差を縮めておくことができ、議論が盛り上がりました。
「SDGs×電気」教材の活用について
資源・エネルギー問題を多面的・多角的に考察する材料としてバランスの取れた動画であると思います。また、理想を優先しがちなSDGsの取り上げ方も、目標達成度の視点があるため生徒に揺さぶりを掛けられると考えています。
資源・エネルギー問題は2年生での既習事項でもあるので、多くの生徒は自分なりの理想とする発電方法の考えをもっています。ただ、それは一面的な判断である場合が多いことも否めません。本動画はSDGsの目標の選び方によって異なる結論になることに気づかせてくれます。例えば、太陽光発電は目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献する一方で、高コストが目標11「エネルギーをみんなに」の部分に課題があるということがあります。この視点を動画で得ておくことは、自分たちで最適と考える発電の割合を考える上でも大切な要素となります。
授業実施後の生徒の学習感想
動画だと説明が分かりやすくて、具体的な例があり、イメージしやすかったです。SDGsについてよりもっと興味がわきました。また、日本がSDGsの目標をどれだけ達成できていないか知ることができました。
DVDや資料を使ったことで、教科書よりも、よく詳しく書かれていたりしてとても勉強になった。また、図や写真などがたくさんあり、それぞれのメリット・デメリットがよく分かって勉強になった。
人の得意不得意があるように、発電にも互いにメリットデメリットがある、SDGsを達成するためには、発電のしやすさ、環境の対策などを効率よく使うことによって、これからの地球を守り抜くことができることが授業から感じた。